劣化ウランFAQ集 - 国際原子力機関
この文書は、国際原子力機関(IAEA)が2003年に発表した劣化ウランに関する文書 "Depleted Uranium FAQs" を日本語訳したものである。
翻訳は に基づいている。関連する文書は にて入手できる。
英語対訳付きはこちらからどうぞ。
【TriNary :: Transcript 劣化ウラン概要報告シリーズ】 - IAEA(2003) 『劣化ウランFAQ集』 [ 和訳 ] [ 対訳 ]
- UNEP(2003) 『劣化ウラン概況報告書』 [ 和訳 ] [ 対訳 ]
- UNEP(2003) 『【劣化ウランに関する抜粋】 「イラクの環境:UNEP 進捗報告」より』 [ 和訳 ] [ 対訳 ]
- UNEP(2003) 『【劣化ウランに関する抜粋】 「イラクの環境に関する机上調査」より』 [ 和訳 ] [ 対訳 ]
- WHO(2003) 『概況報告書 第257号 - 劣化ウラン』 [ 和訳 ] [ 対訳 ]
- WHO(2001) 『劣化ウラン:原因、被曝および健康への影響 ― 概要 ― 』 [ 和訳 ] [ 対訳 ]
一問一答
1. ウランとは何ですか?
ウラン(化学記号 U)は天然に見出される放射性元素である。純粋な形態ではそれは銀色の重金属で、鉛やカルシウム、タングステンと似ている。タングステンと同様に非常に高密度で、およそ 19 グラム毎立方センチメートルであり、鉛より 70% 密度が高い。それは一辺 10 センチメートルの小さな立方体でも 20 キログラムの重さになるほどの高い密度である。
国際原子力機関(IAEA: International Atomic Energy Agency)はウランを低比放射性物質と定義している。自然状態で、それは3種の同位体(U-234、U-235、および U-238)から成る。天然ウランでは見られない他の同位体に、U-232、U-233、U-236、および U-237 がある。下の表に、どんな量の天然ウランでも一定の値である、3種の同位体の質量比、半減期、および比放射能を示す。放射性同位体の半減期は元の放射能の量が半分にまで減衰するのにかかる時間である。比放射能は個々の放射性核種の単位質量当たりの放射能であり、放射性核種がどれくらい放射能を持っているかの指標に用いられる。それはこの表ではミリグラム(1 ミリグラム、mg、= 0.001 グラム)当たりのベクレル(Bq)で示されている。1 ベクレル(Bq)の放射能は 1 秒毎に平均で一回の崩壊が起こることを意味している。
| 同位体 | 相対存在量 (質量比) | 半減期 (年) | 比放射能 (Bq mg-1) | | U-238 | 99.28% | 4,510,000,000 | 12.4 | | U-235 | 0.72% | 710,000,000 | 80 | | U-234 | 0.0057% | 247,000 | 231,000 |
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天然ウランに見られるウラン同位体(U-234、U-235、およびU-238)の崩壊によってもっぱら生じる放射能濃度は 25.4 Bq/mg である。自然では、ウラン同位体は通常、その放射性崩壊生成物を伴って放射平衡(すなわち、それぞれの放射性子孫核種の放射能はその親核種ウラン同位体の放射能と等しい)状態にある。U-238 の崩壊生成物にはトリウム-234(Th-234)、プロトアクチニウム-234(Pa-234)、U-234、Th-230、ラジウム-226(Ra-226)、ラドン-222(Rn-222)、ポロニウム-218(Po-218)、鉛-214(Pb-214)、ビスマス-214(Bi-214)、Po-214、Pb-210、および Po-210 がある。U-235 の崩壊生成物にはTh-231、Pa-231、アクチニウム-227(Ac-227)、Th-227、Ra-223、Rn-219、Po-215、Pb-211、Bi-211、およびタリウム-207(Tl-207)がある。
天然ウランの同位体は主にアルファ粒子を放射して崩壊する。ベータ粒子の放射やガンマ放射線は低い。下の表に U-238、U-235、および U-234 によって放射される、核変換一回当たりの平均エネルギーを示す。
| 同位体 | 核変換によって放出される平均エネルギー (MeV Bq-1) | | アルファ | ベータ | ガンマ | | U-238 | 4.26 | 0.01 | 0.001 | | U-235 | 4.47 | 0.048 | 0.154 | | U-234 | 4.84 | 0.0013 | 0.002 |
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2. ウランは環境にどれくらい存在しているのですか?
ウランはあらゆる岩石や土壌、水や空気、そして自然の材料から作られたすべての物に微量に含まれている。これは活性金属であり、したがって、自然環境においては遊離ウランとしては存在しない。また、自然の鉱物中に見られるウランに加えて、産業活動によって生じたウラン金属および化合物が自然環境の元に放出されているだろう。
ウランは自然環境で他の元素と化合してウラン化合物を形成しているだろう。これらウラン化合物の溶解度は非常に様々である。自然環境のウランは主に酸化ウランとして見られ、通常は鉱物中に無酸素性不溶性化合物 UO2 として、またときおり地表水中に普通に可溶性な化合物 UO3 として見られる。可溶性のウラン化合物は自然環境において他の化学元素や化合物と化合して別のウラン化合物を形成しうる。ウラン化合物の化学形態は、その化合物がどれくらい容易に自然環境の中を移動できるかによって決まり、このことはそれがどれくらい有毒であるかをも決定しているだろう。一部の形態の酸化ウランは非常に不活性であり、地下水中でも下方に移動することなく、何千年も地中にとどまっているかもしれない。
土壌中の天然ウランの平均濃度はおよそ 100 万分の 2 であり、これは 1,000 kg の土壌中に 2 グラムのウランがあるのと等しい。これは 10 m × 40 m の典型的な庭の、上から深さ 1m の土壌はおよそ 2 kg のウラン(子孫核種の崩壊に伴う相当量の放射能を無視しても、ウラン同位体の崩壊によって実に 50,000,000 Bq の放射能に相当)を含んでいることを意味している。花崗岩中のウランの濃度は 100 万分の 2 から 100 万分の 20 の範囲に分布している。リン酸塩堆積物を伴う土壌では、ずっと高濃度(1 kg の土壌中に 50 - 1000 mg)でウランが見られるだろう。空気中では、ウランは粉塵として存在している。空気中のウランの非常に小さな塵状粒子は地表水や植物の表面、或いは土壌に堆積する。これらのウラン粒子は結局最後には土壌中や湖、河川、池の底に戻り、それらは既存の天然ウランと混ざってしまうだろう。空気中のウランの通常の放射能濃度はおよそ 2 μBq 毎立方メートルである(UNSCEAR 国連放射線影響科学委員会 2000)。
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